6帖のガラスケース
小学1年生の頃。
教室にあった図鑑が好きでした。
滅多に行かない海のお魚とか。山の動物とか。
あ、これ通学路に咲いてる花だ。とか。
綺麗な見た目なのに毒マークがついている生き物にびっくりしたりして。
飽きることなく眺めていたのを覚えています。
外に出るのも好きな子供でした。
公園の茂みの裏側に潜り込んでみたり。
立ち入り禁止の貯水池に忍び込んでみたり。
少しずつ知ってることが増えていって、世界が広がっていくみたいな感覚が嬉しかった。
いつからでしょうか。
外に出るのが億劫に感じるようになったのは。
子供の頃よりもずっと遠くに行けるはずなのに、気づいたらいつも自室の6帖の中にいます。
閉じ込められているわけでもないのに、ずっとそこにいます。
新人公演。
ガラスケースなんて題がついていますが。
実はガラスケースの中にいるのは自分なんじゃないか、なんて、思わないこともないです。
宣伝美術 伊藤彩乃
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劇団綺畸2016年度新人公演
『無題、あるいは歪曲するガラスケースの寓意。』
作 中石海 演出 野口瑞貴
3/18(土) 19:00
19(日) 14:00/19:00
於 駒場小空間
全席自由席
予約不要・カンパ制
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想像すること
子供のころ好きだった本、というテーマを聞いて、一番に思い浮かんだのはバーネットの「小公女」です。
説明不要なくらい有名な物語ですが一応説明しておくと、セーラ・クルーという大金持ちのお嬢様が突然一文無しになり、それまで生徒だった寄宿学校の召使いとして働くことになるという物語です。
小公女の何が好きかといえば、セーラの気位の高さが好きでした。
セーラは乞食同然の身分になっても、どれほど見た目がみすぼらしくなっても、裕福だったころと同じように丁寧な言葉を話し、どんなにお腹がすいていようとも、それを顔に出すまいとするのです。
セーラの一番の美徳は、優しさとか忍耐とかじゃなくて、乞食同然の身分になっても心の高貴さを失わなかったことだと思います。
そして、それができたのはセーラが豊かな想像力の持ち主だったからです。
小公女は、想像することが人間にとってどれほど大切かということを考えさせてくれた作品です。
想像の力によってうら寂しい屋根裏部屋はバスティーユの牢獄にもなるし、屋根裏でのささやかなパーティーは王女さまの晩餐会になる。乞食同然の身分でも心は貴婦人でいられる。(もちろん、それには大変な精神力が必要ですが…)
想像する力さえあれば目の前の現実がどうあろうと、無限に自由でいられるのだと思います。
文学作品も、ありとあらゆる芸術作品も、人間の創作物はすべて空想、想像の産物ですよね。もちろん、演劇も。
子供のころ好きだった本には、今でも心を惹かれるものと通じるところがやっぱりあるんだろうなと、これを書きながら思いました。
衣裳・小道具 原
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劇団綺畸2016年度新人公演
『無題、あるいは歪曲するガラスケースの寓意。』
作 中石海 演出 野口瑞貴
3/18(土) 19:00
19(日) 14:00/19:00
於 駒場小空間
全席自由席
予約不要・カンパ制
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シルクの靴下
あしながおじさんが好きでした。
小説の中に出てくるものって、どうしてあんなにキラキラしてるんだろうって思います。
例えば、あしながおじさんの中に出てくる、シルクの靴下。初めて読んだとき、シルクの靴下って響きに、きっと、お姫様が履くような靴下なんだってワクワクして、母に、シルクの靴下が欲しい!っておねだりをした記憶があります。それで、高校生のときにあしながおじさんを読み直して、今度こそ、シルクの靴下を手に入れようって思いました。でも、インターネットで検索して出て来たシルクの靴下は私が想像していたものとは全く違って、お姫様とは程遠く、生活感に溢れた全く可愛くもなんともない実用的な靴下で、とてつもなくがっかりした記憶があります。もちろん、国も時代も違うのであしながおじさんに出てくる靴下は、インターネットで検索してでてきたようなものとは違うのだろうと思います。でもきっと、あしながおじさんで描かれていたシルクの靴下と全く同じ姿形のしているものを現実で見つけたとしても、がっかりするんだと思います。物語の中にでてくるものって、現実よりも何百倍もきらきらしていて、現実にあるものとは全く違うもののように感じます。
子供の頃、いつか私はファンタジーの世界だったり、なにかの物語の世界に行けるんだって本当に思ってました。でも、いつまでたってもいけませんでした。そのせいか、いかにも現実って感じのする生活感のあるものが大嫌いで。1番嫌いなのは、スウェット姿でTSUTAYAに出掛ける人です。
でも、さいきんやっと、私は物語の世界にいくことは出来ないんだってわかりました。わかってからはなんとなく、いかにも現実。みたいなこともちょっとだけ好きになれてきたような気がします。例えば、友達とコンビニでカップラーメンを買って、お昼に食べたり。そんな、好きになれる現実が増えてきました。これが大人になるってことなのかな。
私はジュディにはなれないけれど、まだまだ物語の世界にあるきらきらしたものに敵う現実は見つけられていないけれど、いつか、物語よりも何よりも、今ある現実が好きになれるといいなって思います。
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劇団綺畸2016年度新人公演
『無題、あるいは歪曲するガラスケースの寓意。』
作 中石海 演出 野口瑞貴
3/18(土) 19:00
19(日) 14:00/19:00
於 駒場小空間
全席自由席
予約不要・カンパ制
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仲良し友達お知り合い
図書館では窓際の席に座りたい。そこで外を眺めながら、本を読んだり勉強したりするのが好き。
ある時ふと窓の外に目をやると、見覚えのある後ろ姿が正門へと帰っていくのが見えた。別に特別仲が良いわけでもないけど、何故だか急に、「あの人と一緒に帰りたい」なんて思い立って、慌てて席を立ち図書館を出て後を追う。駅で追いついて、声をかけようとして、でも特別仲が良いわけでもないから言葉が出てこなくなって、結局気づかなかったふりをして。私は何をしてるんだろう、と思いながら、ちょっとだけ残念な気持ちになる。なんでもいいから声をかければ、良かったな。
いたら話すし、話し始めると仲が良いと錯覚するくらい楽しく話せるけれど、いなかったらいなかったで別にわざわざ連絡を取るのはおかしい。それくらいの距離感の人と、それ以上仲良くなる術を知らない。これ以上近づけないんだろうなと思った瞬間から、私はその人に執着してしまう面倒な性質で、仲良くなりたいという気持ちが空回りするのは自分でもそうとわかるくらい滑稽で惨めで最悪だ。
小さい頃母親がよく本を読み聞かせてくれた。何という題か思い出せないけれど、その中の一つに、仲良しの子が何も言わずに遠くへ行ってしまって二度と会えなくなる、というお話があった。いいな、と思う。仲良しであればその事実に傷つくことができる。仲良しであれば、どうして何も言ってくれなかったの、と文句が言える。特にそうでもない相手がもし突然いなくなっても、私の日常に何の変化もないだろうし、私はそれに対して反応することができない。それが、すごく寂しい。
そういえば明日から長期休みに入って、もうその人とはずっと話せなくなるのだったと気がついたのは、電車を降りるその人の背中を見送ってからだった。
なーんてね。まあ全部嘘なんですけど。
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劇団綺畸2016年度新人公演
『無題、あるいは歪曲するガラスケースの寓意。』
作 中石海 演出 野口瑞貴
3/18(土) 19:00
19(日) 14:00/19:00
於 駒場小空間
全席自由席
予約不要・カンパ制
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小さい頃は小公女が好きでした。表紙の絵が可愛かったからです。
兎肉
ピーターラビットを何回か読んだ記憶があります。親にも本気で殴られた事がないようなクソガキの頃の話ですが、「休日の暇潰しにはピーターラビットが最適」と一定の趣味を持って本をチョイスしていました。
内容について一番よく記憶しているのは、人間の狩人に捕まりそうな時の兎たちが発する「怖がる兎の定型文」的なものです。
ピーターラビットの作中に登場する「追われる兎たち」は、物陰への潜伏に際して自分が感じている恐怖を消化する為に、「あいつらに捕まったら〇〇にされちゃうよぉ〜〜〜!!!怖いよぉ!!」「しっ!静かにしてよ」という、片方が恐怖のあまり「捕まったらこういう料理にされてしまうんじゃね?」と予想してビビり、もう片方が黙らせる、というやり取りを互いに役割を入れ替えながら必ず挟んできます。このくだりはもう本当に必ずと言っていいほどの率で挟まれるお約束で、追われる兎が1匹しかいない状況でもモノローグの中で(あぁ……近づいてくる……このままだとベーコンエッグにされてしまうよぉ〜〜〜!!!)的なやつが挟まれる始末でした。
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劇団綺畸2016年度新人公演
『無題、あるいは歪曲するガラスケースの寓意。』
作 中石海 演出 野口瑞貴
3/18(土) 19:00
19(日) 14:00/19:00
於 駒場小空間
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捨てられない
今回のブログテーマでもある「子供の頃に好きだった本」といえば。
『うさぎのくれたバレエシューズ』という南塚直子さんの描かれた絵本が忘れられません。
バレエを5年習っているのにどうしても上手くならない女の子の元にある日、うさぎの靴屋からバレエシューズが届き、そのお礼に一緒にうさぎバレエ団の30名(30匹?)に渡すバレエシューズを作ってあげて、その出来上がったシューズを履いたうさぎバレエ団と一緒に貰った不思議なバレエシューズを履いて踊ると、なんとくるくる花びらのように踊れるようになり、現実に帰ってから裸足になっても、その不思議なバレエシューズの力は借りていないのに上手に踊れるようになっていました、といったお話で、幼い私はとても感動しました。
絵も温かみが感じられてとても素敵で、今読んでもドキドキしてしまいます。
バレエを習いたい、習いたい、と毎日思ったあの頃を思い出します。
まあ、結局バレエは習わずにピアノを習い始めたんですけど。
あの時バレエを習っていたら、もしかしたら違う今があったのかもしれないな、と時々思います。
そう思うと、このボロボロの絵本がどうしても捨てられないんですよね。
小島
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劇団綺畸2016年度新人公演
『無題、あるいは歪曲するガラスケースの寓意。』
作 中石海 演出 野口瑞貴
3/18(土) 19:00
19(日) 14:00/19:00
於 駒場小空間
全席自由席
予約不要・カンパ制
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おジャ魔女どれみになれなかった少女の話
こんにちは、制作・小道具1年の堀苑です。
今回のテーマは、子供の頃好きだった本らしいです!!
私が好きだった本はこいつです!
「森は生きている」作:サムイル・マルシャーク
世界の名作集みたいなやつのひとつだった気がします。
この本、サンタさんからのプレゼントでもらったんですが、実はそこまで嬉しくなかったんです。
私がサンタさんに頼んだのはおジャ魔女どれみの変身グッズ。それなのに!なんなんだ!この本は!なんか分厚いし!私はどれみちゃんになれないのか!と幼心にがっかりしたのをおぼえています笑
でもまあもらったものだし読んでみると、挿絵がすっごくきれいですてきだったんですよ~。
内容について理解できたかとか感動したかどうかはおぼえてないです笑
とにかく絵がすてき!
本において、結構挿絵って大事だと思うんです!私の機嫌も挿絵のおかげで治ったはず!
ということで、お付き合い頂きありがとうございました。新人公演でお会いできるのを
楽しみにしております!
制作・小道具 堀苑理緒
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劇団綺畸2016年度新人公演
『無題、あるいは歪曲するガラスケースの寓意。』
作 中石海 演出 野口瑞貴
3/18(土) 19:00
19(日) 14:00/19:00
於 駒場小空間
全席自由席
予約不要・カンパ制
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