想像すること
子供のころ好きだった本、というテーマを聞いて、一番に思い浮かんだのはバーネットの「小公女」です。
説明不要なくらい有名な物語ですが一応説明しておくと、セーラ・クルーという大金持ちのお嬢様が突然一文無しになり、それまで生徒だった寄宿学校の召使いとして働くことになるという物語です。
小公女の何が好きかといえば、セーラの気位の高さが好きでした。
セーラは乞食同然の身分になっても、どれほど見た目がみすぼらしくなっても、裕福だったころと同じように丁寧な言葉を話し、どんなにお腹がすいていようとも、それを顔に出すまいとするのです。
セーラの一番の美徳は、優しさとか忍耐とかじゃなくて、乞食同然の身分になっても心の高貴さを失わなかったことだと思います。
そして、それができたのはセーラが豊かな想像力の持ち主だったからです。
小公女は、想像することが人間にとってどれほど大切かということを考えさせてくれた作品です。
想像の力によってうら寂しい屋根裏部屋はバスティーユの牢獄にもなるし、屋根裏でのささやかなパーティーは王女さまの晩餐会になる。乞食同然の身分でも心は貴婦人でいられる。(もちろん、それには大変な精神力が必要ですが…)
想像する力さえあれば目の前の現実がどうあろうと、無限に自由でいられるのだと思います。
文学作品も、ありとあらゆる芸術作品も、人間の創作物はすべて空想、想像の産物ですよね。もちろん、演劇も。
子供のころ好きだった本には、今でも心を惹かれるものと通じるところがやっぱりあるんだろうなと、これを書きながら思いました。
衣裳・小道具 原
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劇団綺畸2016年度新人公演
『無題、あるいは歪曲するガラスケースの寓意。』
作 中石海 演出 野口瑞貴
3/18(土) 19:00
19(日) 14:00/19:00
於 駒場小空間
全席自由席
予約不要・カンパ制
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