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仲良し友達お知り合い


図書館では窓際の席に座りたい。そこで外を眺めながら、本を読んだり勉強したりするのが好き。
ある時ふと窓の外に目をやると、見覚えのある後ろ姿が正門へと帰っていくのが見えた。別に特別仲が良いわけでもないけど、何故だか急に、「あの人と一緒に帰りたい」なんて思い立って、慌てて席を立ち図書館を出て後を追う。駅で追いついて、声をかけようとして、でも特別仲が良いわけでもないから言葉が出てこなくなって、結局気づかなかったふりをして。私は何をしてるんだろう、と思いながら、ちょっとだけ残念な気持ちになる。なんでもいいから声をかければ、良かったな。
いたら話すし、話し始めると仲が良いと錯覚するくらい楽しく話せるけれど、いなかったらいなかったで別にわざわざ連絡を取るのはおかしい。それくらいの距離感の人と、それ以上仲良くなる術を知らない。これ以上近づけないんだろうなと思った瞬間から、私はその人に執着してしまう面倒な性質で、仲良くなりたいという気持ちが空回りするのは自分でもそうとわかるくらい滑稽で惨めで最悪だ。
小さい頃母親がよく本を読み聞かせてくれた。何という題か思い出せないけれど、その中の一つに、仲良しの子が何も言わずに遠くへ行ってしまって二度と会えなくなる、というお話があった。いいな、と思う。仲良しであればその事実に傷つくことができる。仲良しであれば、どうして何も言ってくれなかったの、と文句が言える。特にそうでもない相手がもし突然いなくなっても、私の日常に何の変化もないだろうし、私はそれに対して反応することができない。それが、すごく寂しい。
そういえば明日から長期休みに入って、もうその人とはずっと話せなくなるのだったと気がついたのは、電車を降りるその人の背中を見送ってからだった。

 

 


なーんてね。まあ全部嘘なんですけど。

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劇団綺畸2016年度新人公演

『無題、あるいは歪曲するガラスケースの寓意。』

作 中石海   演出 野口瑞貴

3/18(土) 19:00

19(日) 14:00/19:00

駒場小空間

全席自由席

予約不要・カンパ制

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小さい頃は小公女が好きでした。表紙の絵が可愛かったからです。